*脱臼(だっきゅう)**とは、関節を構成する骨同士の位置関係がズレて、正常な位置から外れてしまった状態のことです。関節は本来、骨と靱帯、筋肉などで安定して支えられていますが、強い外力が加わると、そのバランスが崩れ、骨の接合部分(関節)が外れてしまうのです。
主な脱臼の症状
激しい痛み
関節の変形や異常なふくらみ
関節が動かせない、または動かすと激痛
腫れ・内出血
脱力感やしびれ(神経を圧迫している場合)
よく見られる脱臼の部位
部位 特徴
肩関節 脱臼の中で最も多い。腕を強くひねった時や転倒時に起きやすい。再発しやすい。
肘関節 小児に多く、「肘内障(ちゅうないしょう)」という一時的な脱臼がよく見られる。
指の関節 スポーツ中の突き指や衝撃で起こりやすい。
顎関節(あご) あくびや大笑いなどで顎が外れることがある(顎関節脱臼)。
股関節 強い衝撃(交通事故など)や、先天性の構造異常によって起こることも。
脱臼の原因
転倒や衝突などの外傷
スポーツ中の急な動作
交通事故や重い物を持ち上げたときの衝撃
関節がもともと緩い体質(関節弛緩性)
成長期や加齢による関節の弱さ
治療法
整復(せいふく)
→ ズレた骨を正常な位置に戻す処置。整形外科や柔道整復師が行う。
固定
→ ギプスや装具で一定期間、関節を動かさないようにして安定させる。
リハビリ
→ 関節周囲の筋肉や靭帯を鍛えて、再発を防ぐ。
手術(必要な場合)
→ 靭帯損傷が大きい場合や、脱臼を繰り返す人には手術が検討される。
注意点
自分で無理に戻そうとしない!
→ 神経や血管を傷つける危険があります。必ず専門家のもとで処置を受けましょう。
脱臼はクセになることがある
→ 特に肩関節などは一度外れると、再発しやすくなるため、予防のための筋力トレーニングや注意が必要です。
まとめ
脱臼は、骨折と同様に早期の正しい処置が重要なケガです。関節が外れたまま放置すると、関節の変形や慢性的な痛み、神経障害につながるおそれがあります。違和感を感じたらすぐに整骨院、整形外科などの専門医を受診しましょう。